引きこもりは何年で手遅れ?期間の実データと、年数より先に見てほしいこと
先に言うと
- 「何年たったら手遅れ」という線は、どこにも引かれていない
- 7年以上続いている人は2割を超え、10年以上の人も15%前後いる
- 年数で細くなるのは、「空白なしで正社員」というひとつのルートだけ
長く続くのは、珍しいことじゃない。ただ、年数がたつと現実的に変わることは、正直ある。
自分の場合:年数を数えるのをやめたら、少し動けた
自分にも、夜中に「引きこもり 期間 平均」「何年で抜ける」を順番に検索していた時期がある。
知りたかったのは、期限だった。「平均3年」と出てくれば、まだセーフだと思える。もう過ぎていたら、手遅れだと思える。そういう答え合わせをしたかった。
「今年中には」「30歳までには」と、自分で締め切りを決めていたこともある。でも、締め切りが近づくたびに「間に合わない」という絶望が増えるだけだった。
変わったのは、何年目かを数えるのをやめてからだった。数えている間は、その数字がそのまま自分を責める重りになる。数えるのをやめたら、そのぶん、家の中でできそうなことに目を向ける余裕ができた。
自分の場合、それはポイ活だった。誰とも話さず、外にも出ずに、少しずつでも自分でお金を引いてこられた。それが続いているうちに、いつのまにか期間を数えなくなっていた。ドラマチックに抜け出したわけではなくて、そういう地味な順番だった。
当時のことは、こっちに書いた。
引きこもりの期間、実際は何年くらいなのか
内閣府が2022年度に行った「こども・若者の意識と生活に関する調査」に、引きこもり状態になってからの期間が出ている。
| 期間 | 15〜39歳 | 40〜69歳 |
|---|---|---|
| 6か月〜1年未満 | 21.5% | 12.9% |
| 1年〜2年未満 | 16.7% | 14.8% |
| 2年〜3年未満 | 15.3% | 21.9% |
| 3年〜5年未満 | 17.4% | 16.1% |
| 5年〜7年未満 | 7.6% | 11.0% |
| 7年〜10年未満 | 4.2% | 7.7% |
| 10年以上 | 17.4% | 15.5% |
出典:内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」(厚生労働省「ひきこもり支援施策について」掲載の集計より。回答者は15〜39歳144人、40〜69歳155人)
この表から言えるのは、だいたいこんなこと。
- どちらの年代でも、約半数が3年以上
- 7年以上は、15〜39歳で約22%、40〜69歳で約23%
- 10年以上だけでも、15〜17%ほどいる
つまり、「何年も抜けられない自分は、よっぽどおかしい」というのは、数字の上では当てはまらない。長く続くのは、わりと普通に起きていること。
「手遅れ」と言われるとき、何が手遅れなのか
それでも「手遅れ」という言葉が出てくるのは、年数がたつと、実際に動かしにくくなるものがあるから。そこはごまかさずに書いておく。
年数がたつと、変わること
- 履歴書の空白が長くなる。 会社に応募するときは、どうしても説明を求められやすくなる
- 年齢で区切られる窓口や求人がある。 たとえば地域若者サポートステーション(サポステ)は、対象が15〜49歳まで
- 親が年を取る。 親の収入や体力をあてにした生活は、いつまでも同じ形では続かない
- 体力が落ちる。 外に出ない期間が長いほど、ちょっと出ただけで疲れやすくなる
年数がたっても、変わらないこと
- 相談の窓口は、年齢や年数で締め切られていない。 「ひきこもり地域支援センター」は全都道府県と政令指定都市にあって、年齢などの条件を問わずに相談できる
- 家の中でお金を作る手段は、年齢を見てこない。 ポイ活や在宅の作業は、30歳でも50歳でも条件は同じ
- 「会社に就職する」以外の道も残っている。 在宅の仕事、作業所、短い時間のバイトなど、空白の長さがそこまで問われない入口はある
まとめると、手遅れになるのは「引きこもりそのもの」ではない。「空白なしの履歴書で、普通に正社員になる」というルートが、年数とともに細くなっていく。 それだけのことだと思う。そのルートだけが道ではない。
年代・年数ごとに、現実的に違うところ
10年以上たっている場合
10年を超えると、「今さら」という気持ちがいちばん重くなる。ただ、上の表のとおり、10年以上の人は15%以上いる。少数派ではあっても、例外というほどではない。
この段階でいきなり「就職」を目標にすると、たいてい自分を追い詰めるだけになる。先に、誰とも話さずにできることで、生活の中に小さな「自分で回せた」を作る方が、現実的だった。
30代の場合
30代は、サポステ(〜49歳)、ハローワーク、自治体の窓口、ひきこもり地域支援センターと、使える窓口がいちばん多い年代でもある。
「30代 手遅れ」で検索すると、就職エージェントの記事がたくさん出てくる。でも、いきなりそこへ行かなくていい。話さなくていい手段から始めて、必要になったときに窓口を思い出す、くらいの順番でいいと思う。
40代・50代の場合
この年代になると、親の高齢化(いわゆる8050問題)が現実の問題として迫ってくる。仕事のことより先に、「親がいなくなったら、生活はどうなるのか」を知っておく方が大事になる。
ひきこもり地域支援センターは年齢を問わないので、本人ではなく親の側から相談することもできる。
今日からできる、小さいこと
年数がどうであっても、最初の一歩は小さくていい。
- 年数を数えるのをいったんやめる。 何年目かを考える夜を、一晩でも減らす
- 話さずにできるお金の手段を、ひとつだけ持つ。 親に頭を下げなくて済む小さな自由は、思っているより気持ちに効く(ポイ活は危なくないのか、ニートのポイ活の現実的な月収)
- 相談先の場所だけ、知っておく。 今すぐ行かなくていい。厚生労働省の「ひきこもりVOICE STATION」に全国の窓口がまとまっている。電話が無理なら、メールやSNSで受け付けている窓口を選べばいい
- 親が高齢なら、「親がいなくなった後」を一度だけ調べておく(「親が死んだら自分はどうなる」を検索した夜)
よくある疑問
引きこもって10年以上たっていたら、もう就職は無理?
無理ではない。ただ、空白なしの人と同じルートで正社員を目指すのは、正直しんどい。就労移行支援、短い時間のバイト、在宅の仕事のように、空白の長さがそこまで問われない入口から入る方が現実的だと思う。
30代の引きこもりは手遅れ?
手遅れではない。むしろ30代は、使える窓口がいちばん多い年代でもある。サポステは49歳まで使える。
履歴書の空白期間は、どう書けばいい?
無理に埋めなくていい、というのが自分の考え。詳しくはこっちに書いた → 履歴書の空白期間を、埋めなくていい説
引きこもりの平均期間は何年?
「平均◯年」という形で、出どころのはっきりした数字は見当たらなかった。代わりに、この記事の最初に載せた期間ごとの割合が、いちばん信頼できるデータだと思う。
まとめ
- 「何年で手遅れ」という線は、データのどこにもない。7年以上の人は2割を超えていて、長く続くのは普通に起きていること
- 年数で細くなるのは、「空白なしで正社員」というひとつのルートだけ
- 相談窓口と、家の中でお金を作る手段は、年数や年齢では締め切られない
- 最初の一歩は、年数を数えるのをやめることと、話さずにできる手段をひとつ持つこと
何年たっていても、それはただ長かったというだけで、その人の価値とは関係がない。
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