引きこもりの国民年金は免除できる?窓口に行かずに申請する方法と、免除・納付猶予の違い
先に言うと
- 国民年金が払えないなら、「免除」か「納付猶予」を申請できる。申請書は郵送でも出せるし、マイナポータルから電子申請もできる。窓口に行かなくても出せる
- 実家暮らしだと、免除の審査では世帯主(親)の所得も見られる。親の所得で免除が通らなくても、50歳未満なら本人と配偶者の所得だけを見る「納付猶予」の対象になりうる
- 一番まずいのは、怖くて放置して「未納」になること。未納の期間があると、障害年金などを受け取れなくなることがある
20歳を過ぎると、働いていてもいなくても、国民年金の紙が届く。
自分も、引きこもっていた頃に届いて、数日手を付けられなかった。
そのとき自分が知りたかったのは、「払えないときに何ができるのか」「窓口に行かずに済むのか」だった。日本年金機構の情報で確かめて書く。制度の数字は2026年10月時点のもの。
カゲの場合
紙が届いて、数日動けなかった
20歳を過ぎた頃、自分宛てに国民年金の紙が届いた。当時の額は月16,000円ちょっと。
一番怖かったのは、金額そのものより、「これが来る」ことを自分が把握していなかったことだった。払うお金はない。払うなら親に頼むしかない。親に見せたら「なんで払ってないんだ」と話が大きくなる。紙を一枚、机に置いたまま、数日、手を付けられなかった。
窓口は、行っても何も解決しなかった
役所の窓口では、「収入は?」「扶養に入ってますか?」と聞かれる。自分は、親の扶養に入っているかどうかすら分かっていなかった。答えに詰まると説明が始まって、それが頭に入ってこないまま「はい」「分かりました」と答えて、何も解決せずに帰る。これを数回やって、役所に行くのを諦めた時期があった。
番号札を持って待つ時間も、きつかった。平日の昼に、髪を伸ばしっぱなしの20代がひとり座っている。その場にいるだけで「平日昼に役所に来ている無職」として見られる感覚に、耐えられなかった。
結局、年金の請求はポストに入れるだけで止まった
諦めたあとに分かったのが、年金の免除申請は郵送でできるということだった。
自分は、親に頼んで役所で申請書を貰ってきてもらって、部屋で書いて、ポストに入れた。窓口に行かずに、年金の請求を止められた。知ったときは、結構びっくりした。
窓口で番号札を取って待って、短い説明を受ける手続きが、部屋で書いて封筒に入れて、ポストに出すだけで済む。この仕組みを、もっと早く知りたかった。
国保は、親のままにした
国保の請求書は、自分ではなく世帯主の親に届いていて、親が払っていた。自分の分をどうするかは世帯の状況で変わるけど、自分の場合は、親が「気にしなくていい」と言ったので、そのままにした。
年金の申請書は、今なら役所に貰いに行ってもらわなくても、日本年金機構のサイトからダウンロードできるし、マイナンバーカードがあればマイナポータルから出すこともできる。
効かなかったこと
- 自分の状況を分からないまま、窓口に行くこと。 質問に答えられず、「はい」と言って何も解決せずに帰る、を数回くり返した
国民年金の保険料は、今いくらか
今は月17,920円(令和8年度)。払えないときは、免除か納付猶予を申請できる(学生は学生納付特例)。
出典:日本年金機構「国民年金保険料」
自分のところに来た紙には、「月16,000円ちょっと」と書いてあった。今はそれより高い。払わなければ、来月も再来月も、この額の紙が来る。
「免除」と「納付猶予」は、何が違うのか
払えないときの制度は、大きく二つある。
- 免除:保険料の全額、4分の3、半額、4分の1のどれかが免除される。審査されるのは、本人・配偶者・世帯主の前年所得
- 納付猶予:20歳以上50歳未満の人が対象。保険料の納付が猶予される。審査されるのは、本人・配偶者の前年所得
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
ここが、引きこもりにとって一番大事なところだと思う。
実家で親が世帯主なら、免除の審査では親の所得も見られる。 本人の収入がゼロでも、親の所得によっては全額免除が通らないことがある。前の記事では「収入ゼロなら、たいてい全額免除が通る」と書いたけど、正確には世帯主の所得も条件に入っている。
そのときの受け皿が、納付猶予だ。納付猶予は世帯主の所得を見ないので、50歳未満で、本人と配偶者の所得が基準以下なら対象になる。申請書は「免除・納付猶予申請書」という一つの様式になっている。
免除と猶予で、何が変わるか
- 免除も猶予も、年金を受け取る資格の期間には入る。障害基礎年金の資格の期間にも入る
- 違うのは、将来の年金額。全額免除の期間でも、年金額の2分の1は受け取れる(税金でまかなわれている部分)。猶予の期間は、追納しないと年金額に反映されない
- 未納だけが、どちらにも入らない
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
所得の基準
扶養親族がいない人なら、全額免除と納付猶予の基準は、前年の所得が67万円以下。ただし、これは「所得」の基準で、収入(売上や給料の額面)そのものではない。自分の場合にどうなるかは、年金事務所か市区町村の国民年金の窓口で確かめてほしい。
窓口に行かずに申請する方法
自分が知ってびっくりしたのは、ここだった。役所の窓口に行かなくても、申請はできる。
| 方法 | どうやるか | 必要なもの |
|---|---|---|
| 電子申請(マイナポータル) | マイナポータルの「年金」から、免除・納付猶予の手続きを選んで申請 | マイナンバーカードと、受け取ったときに設定した数字4桁のパスワード。スマホでカードを読み取る |
| 郵送 | 申請書をダウンロードして書き、市区町村の国民年金の担当窓口か、年金事務所に郵送 | 基礎年金番号が分かる書類など。マイナンバーを書くときは本人確認書類の写しを付ける |
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」「ケース11:国民年金保険料の免除を受けるとき」「電子申請(マイナポータル)」
マイナポータルで申請した場合、審査の結果はマイナポータルの申請状況照会のページで確認できる。メール通知を設定しておけば、結果が届いたときにメールで知らせてくれる。
申請書の様式のページには、セルフチェックシートと、書き方の説明動画も置いてある。窓口で「ここ違いますね」と言われるのが怖い人は、出す前にそれで確かめられる。
気をつけること
- さかのぼれるのは2年1カ月前まで。 納付期限から2年を過ぎた月は、免除の申請ができなくなる
- 申請は原則、毎年度(7月から翌年6月まで)。 ただし全額免除か納付猶予が通った人は、継続を希望しておけば、翌年度からは申請しなくても審査される
- 親を含め、税の申告をしていない人がいると、先に住民税の申告が要る。 本人・配偶者・世帯主の中に所得の申告をしていない人がいると、先に市区町村で住民税の申告をすることになっている。収入がゼロで申告をしていない人は、ここに引っかかる可能性がある。郵送で申告できるかは、住んでいる市区町村に確かめてほしい
- 学生は対象外。 学生は「学生納付特例」という別の制度になる(本人の所得だけで審査される)
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間」「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」「国民年金保険料の学生納付特例制度」
払えないまま放置すると、どうなるか
未納のままだと、困るのは老後だけではない。
- 病気やけがで障害を負ったとき、障害基礎年金を受け取れない場合がある。事故や病気が起きてから、さかのぼって免除を申請しても、障害基礎年金の納付要件には算入されない
- 老齢基礎年金を受け取るには、納付済みの期間と免除の期間などを合わせて10年以上が必要になる
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
免除や猶予は「払わなくていい」以上に、この保険を切らさないための手続きだと思う。
あとから払える「追納」
免除や納付猶予を受けた期間の保険料は、10年以内なら、あとから納めて(追納して)年金額を満額に近づけられる。
- 1年分追納すると、全額免除の期間なら老後の年金が年間で約1万円、納付猶予の期間なら年間で約2万円増える
- 3年度目以降に追納すると、当時の保険料に少し上乗せされる
出典:日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」
今払えなくても、あとでお金ができたときに取り戻す道がある。だから今は、とにかく申請しておけばいい。
国民健康保険は、市区町村ごとに決まっている
年金と一緒に気になるのが、国民健康保険だと思う。こちらは、保険料の計算方法や納め方が市区町村ごとに条例などで決まっている。
- 保険料は世帯単位で計算される
- 所得が基準を下回る世帯は、保険料の一部(均等割・平等割)が7割・5割・2割減額される制度がある
- 災害などの特別な事情で納めるのが難しいときは、減免や納付猶予を受けられる場合がある
出典:厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」
自分の場合もそうだったけど、実家暮らしだと、国保の紙は本人ではなく世帯主の親のところに届いていることが多い。具体的な額や減免の条件は、住んでいる市区町村の国民健康保険のページで確かめてほしい。
今日できること
- 届いた紙の「何の紙か」だけ確かめる。 年金なのか、国保なのか、住民税なのか。今日はそれだけでいい
- 自分の年齢と、家の世帯主を確かめる。 50歳未満で、実家の世帯主が親なら、免除が通らなくても納付猶予の対象になりうる
- 申請の方法を一つ決める。 マイナンバーカードがあるならマイナポータル。ないなら、日本年金機構の「ケース11:国民年金保険料の免除を受けるとき」から申請書をダウンロードして郵送
- 書くのは明日でいい。 調べる日、書く日、出す日を分けていい
よくある疑問
収入がゼロなら、必ず全額免除になる?
ならないことがある。免除の審査では、本人だけでなく配偶者と世帯主の前年所得も見られる。実家で親が世帯主なら、親の所得が基準を超えていると全額免除は通らない。そのときは、50歳未満なら納付猶予の対象になりうる。
免除と納付猶予、どっちを選べばいい?
自分で選ぶというより、所得によって通るものが決まる。どちらも受給資格期間には入るので、未納とは違う。違いは、免除は年金額に一部反映され、猶予は追納しないと反映されないこと。自分の場合にどちらになるかは、年金事務所か市区町村の国民年金の窓口で確かめてほしい。
電話や窓口で話さずに済む?
申請自体は、郵送かマイナポータルで出せる。ただ、書類に不備があったときや、住民税の申告が必要なときに、やり取りが発生する可能性はある。出す前に、セルフチェックシートで確かめておくと、やり取りは減らせると思う。
親に知られずに申請できる?
分からない。申請すると、本人・配偶者・世帯主の所得の証明を市区町村に求めることに同意したことになる、と日本年金機構のページには書いてある。ただ、親に通知が行くかどうかは確かめられなかった。気になるなら、年金事務所に聞いてほしい。
何年も払っていない。もう手遅れ?
さかのぼって免除を申請できるのは2年1カ月前までなので、それより前の分は免除にできない。ただ、これから先の分は今から申請できる。放置する期間を、今日で止めればいい。
国民年金の紙が来ない。払わなくていいの?
20歳になると、おおむね2週間以内に「国民年金加入のお知らせ」などが郵送されることになっている。約2週間たっても届かない場合は、加入の手続きが必要になる。
まとめ
- 国民年金の保険料は月17,920円(令和8年度)。払えないなら、免除か納付猶予を申請できる
- 免除の審査は本人・配偶者・世帯主の所得。実家だと親の所得も見られる。50歳未満なら、本人と配偶者の所得だけを見る納付猶予がある
- 申請は郵送でも、マイナポータルでもできる。窓口に行かなくても出せる(税の申告をしていない人がいると、先に住民税の申告が要る)
- 未納のままだと、障害年金などを受け取れないことがある。免除や猶予は、その保険を切らさないための手続き
- 免除・猶予の期間は、10年以内なら追納して年金額を取り戻せる
- 国保の保険料は市区町村ごとに決まる。減額の制度があるので、住んでいる市区町村で確かめる
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