知りたいこと

引きこもりで歯医者に行けない。虫歯を放置した元当事者が、お金・保険証・怖さを整理

先に言うと

  • 自分は虫歯の痛みを痛み止めで誤魔化して、歯医者に行かない時期が何年もあった。先延ばしにした結果、最初に行っていれば済んだ額の5倍ぐらいかかった歯がある
  • 行けなかった理由は「怖い」だけじゃなかった。お金、保険証、親に言えないことが、まとめて絡んでいた
  • 歯は、先延ばしが一番効かなかった。全部を一度に何とかしなくていいから、行けない理由を一つずつ外していくのがいいと思う

歯が痛い。でも歯医者に行けない。何年も行っていないから、余計に行きにくい。

引きこもっていた頃、自分もこの状態を何年も続けていた。なぜ行けなかったのかと、お金や保険証のことを書く。治療の方法そのものは、歯医者で聞くことなので書かない。

行けないのは、怖いからだけじゃなかった

「歯医者 行けない」で検索すると、治療が怖い人向けの記事が多く出てくる。痛くない治療、優しい先生、リラックスできる医院。

でも引きこもっていた頃の自分が行かなかったのは、怖いからだけじゃない。その裏で、お金の問題が絡んでいた。病院に行かない理由を並べると、こうなる。

  • 病院に行くと、親に金がかかる
  • 保険証を出してもらうことが、自分の存在を再確認させる
  • 「なんで?」と聞かれたときの説明がしんどい
  • そもそも、病院まで外出する体力がない

病気になったこと自体が、追加の罪悪感みたいになっていた。だから、体調が悪くても言わずに布団で耐える。虫歯が痛んでも、痛み止めで誤魔化す。

引きこもりで歯医者に行けない人は、「怖さ」より手前の、お金・保険証・親への説明のところで詰まっていることがあると思う。

カゲの場合

痛み止めで、何年も誤魔化した

虫歯が痛んでも、痛み止めで誤魔化した。これを何年もやった時期がある。

体の不調は、気合いで何とかなる期間がある程度ある。でも歯はダメだった。自分の実感では、痛み止めで誤魔化せたのは最初のうちだけだった。虫歯は、放置した分だけ取り返しがつかなくなる。

先延ばしにした結果、最終的に、最初に行っていれば済んだ額の5倍ぐらいかかった歯がある。これは今でも後悔している。

後悔しているのは、「早く行けばよかった」より

後悔の中身を考えると、「早く行けばよかった」というより、早く行ける状態になるための金を、自分で持っていればよかった、ということだった。

病気を我慢して親に黙っていることで守られていた自尊心より、歯を抜かれる損失のほうが大きい。これは後悔として書いておきたい。

自分のお金ができて、医療費の決め方が変わった

ポイ活で、月に数千円でも自分で引ける状態になってから、医療費の扱いが変わった。

  • 歯医者に行くか迷ったら、自分の金で行く
  • 薬局で痛み止めを買うのに、親に金をもらわなくていい
  • 風邪で内科に行くのも、自分の判断で決められる

月3万円あった月には、歯医者の自費診療費も自分で出せた。

「自分の金で医療費を払う」は、単にお金の話ではなかった。自分の体を、自分で管理していい状態のことだった。引きこもっていた間、体のメンテナンスすら、親の管轄の下にあった。お金の出どころが親だったからだ。

小さな出費でも、申告するのが重かった

歯磨き粉が切れても、親に「歯磨き粉欲しい」と申告しないと買えない時期があった。大した額じゃないのは分かっている。でも、申告するたびに、自分が家計の「支出項目」として意識される感じが、回数を重ねるほど重くなった。

病院では、マスクを着ける

今も、外ではマスクを着ける場面が多い。病院もそのひとつだ。家では外して、人前では着ける。こう切り替えるようにしてから、マスクを着ける=戦闘モード、という簡単なスイッチができた。

効かなかったこと

  • 痛み止めで誤魔化し続けること。 誤魔化せたのは最初のうちだけで、先延ばしにした分、最後に高くついた
  • 親に黙って耐えること。 それで守れた自尊心より、歯を失う損失のほうが大きかった
  • 金額を知らないまま怖がること。 想像していた額は、実際よりずっと大きかった。怖がっていた期間が一番長かった

歯医者のお金は、いくらかかるのか

引きこもっていた頃の自分は、医療費を「とんでもない額」として想像していた。実際の金額を知らないまま怖がっていた期間が、一番長かった。

窓口で払うのは、医療費の3割(70歳未満)。歯科の初診料は2,720円(272点)なので、3割負担なら、この部分の窓口負担は800円台になる。

出典:厚生労働省「高額療養費制度の概要」「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」「歯科診療報酬点数表」

ただし、これは初診料だけの話だ。実際の窓口では、ここに検査やレントゲン、その日の処置などの費用が足される。いくらになるかは歯の状態によるので、ここでは書けない。でも、「行っただけで何万円も取られる」というイメージとは、だいぶ違うと思う。

自分の場合、高くついたのは通ったことではなく、先延ばしにしたことだった(上に書いたとおり)。

保険証が見つからない、借りられないとき

引きこもっていた頃、自分は保険証がどこにあるかすら把握していなかった。親が管理していて、使う機会もないから確認もしていない。必要になったら、親に「保険証貸して」と言わなきゃいけない。

ここで詰まった。

「保険証貸して」と言った瞬間に、病院に行くことが確定する。行く理由の説明が要る。日程の調整が要る。行った後の報告も要る。一枚のカードを借りるために、一連の会話をしなければいけない。それが無理で、病院に行かないほうを選んでいた。

今は、この「保険証」のしくみ自体が変わっている。

  • 従来の健康保険証は、2025年12月1日で有効期限が終わった。期限切れの保険証を気付かずに持って行っても使えるようにする対応もあったが、それも2026年7月31日で終了とされている
  • 今は、マイナ保険証(健康保険証として登録したマイナンバーカード)か、「資格確認書」で受診する
  • マイナ保険証を持っていない人には、当分の間、資格確認書が申請しなくても無償で交付されることになっている

出典:厚生労働省「医療機関・薬局では、マイナ保険証か資格確認書をご提示ください」「資格確認書について」

だから、引き出しの奥の古い保険証を探しても、もう使えない。マイナ保険証を登録していないなら、自分の分の資格確認書が家に届いていて、親が保管している、ということもあるかもしれない(これは自分の推測で、確かめたわけではない)。資格確認書の様式や渡し方、有効期限は、加入している健康保険の保険者によって違うので、分からなければそこに確かめることになる。

自分のマイナンバーカードを健康保険証として登録していれば、保険証を親から借りる会話はなくなる。自分が詰まっていたのは、まさにその会話だった。

外に出られないとき:訪問歯科という仕組みもある

外に出ること自体が難しい場合のために、歯医者が家に来る「訪問歯科」という仕組みがある。対象は「通院が困難」な人とされている。

出典:厚生労働省「歯科診療報酬点数表」

ただ、引きこもりの状態がこの「通院が困難」に当たるかどうかは、自分は確かめていない。使えるかどうかは、訪問歯科をやっている歯科医院に聞く必要がある。

お金がまったくないとき

医療費の話で、もう一つ知っておいていいと思った仕組みがある。

生計が苦しい人のために、無料か低い料金で診療する「無料低額診療事業」をしている医療機関がある。

出典:厚生労働省「無料低額診療事業等に係る実施状況の報告」

実施しているのは一部の医療機関だけだ。近くにあるか、歯を診てもらえるか、自分が対象になるかは、施設ごとに確かめることになる。

今日できること

  1. 保険証の代わりになるものが、どこにあるか確かめる。 マイナンバーカードを健康保険証として登録しているか、資格確認書が届いているか。古い保険証はもう使えない
  2. 近くの歯医者の予約方法を見ておく。 電話以外の方法で予約できるかどうかを、サイトで見るだけでいい。今日予約しなくていい
  3. お金の出どころを、一つだけ考える。 親に頼むのが無理なら、自分で少しだけ作る方法もある(ポイ活って危ないのか、何年か使った体感で書く、ニートのポイ活、現実的な月収(盛らない))
  4. 痛みが強いときや、だんだんひどくなっているときは、我慢を続けない。 早めに受診してほしい。自分は、我慢した分だけ高くついた

よくある疑問

何年も歯医者に行っていない。今さら行っていい?

自分も、痛み止めで誤魔化して何年も行かなかった。先延ばしにした分だけ、最後に高くついた歯がある。行ける状態になったら、早めに行ったほうがいいと思う。

痛くなくなったから、このままでいい?

自分の場合、痛み止めで誤魔化せたのは最初のうちだけで、虫歯は放置した分だけ取り返しがつかなくなった。痛みが引いたかどうかで判断せず、早めに診てもらうことをすすめたい。

親に知られずに歯医者に行ける?

自分が詰まったのは、保険証を親から借りる会話だった。自分のマイナンバーカードを健康保険証として登録していれば、その会話はいらなくなる。お金のほうも、自分で少し持てるようになってからは、行くかどうかを自分で決められた。

歯医者以外の病院にも行けない

自分は、「自分で行ける病気は行く、行けないものは諦めて薬で凌ぐ、命に関わるものだけ家族に伝える」の三段で、大体なんとかなると思っている。病気によっては、家から受けられるオンライン診療もある。ただ、すべての人や病気で使えるわけではない。厚生労働省に、患者向けの説明がある。

病院に行くこと自体が申し訳ない

自分も、病気になったこと自体が罪悪感になっていた。その罪悪感がどこから来ていたかは、こっちにまとめた → 引きこもりの罪悪感がつらい。甘えなのか?元当事者が罪悪感を減らせたこと

まとめ

  • 引きこもりで歯医者に行けない理由は、怖さだけじゃなかった。お金、保険証、親への説明が絡んでいた
  • 窓口で払うのは医療費の3割(70歳未満)。歯科の初診料は2,720円で、この部分だけなら3割で800円台。実際はここに検査や処置の費用が足される
  • 従来の健康保険証はもう使えない。マイナ保険証か資格確認書で受診する。マイナ保険証がない人には、当分の間、資格確認書が申請なしで交付されることになっている
  • 外に出られない人向けの訪問歯科、お金がない人向けの無料低額診療という仕組みもある。使えるかどうかは、それぞれ確かめる必要がある
  • 自分は痛み止めで何年も誤魔化して、最初に行っていれば済んだ額の5倍ぐらいかかった歯がある。歯は、先延ばしが一番効かなかった

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